Sunday, January 09, 2005

Excuse my French.

久しぶりにハイカロリーな食事がしたくなったので、昨年12月にオープンしたばかりの Bistrot du Moulin というおフランス料理店に行ってみた。

「ビストロ」なので過剰なサービスは期待していなかったが、他にお客がいない(=従業員の手は空いている)のに、お願いするまでコートを預かってくれないのは少し悲しい。
ホール係は、ひょろひょろなメガネ君なので、(心の中で)のび太君と呼ぶことにした。
顔は全然似てないけど。
のび太君、感じは悪くないが、料理についてはあまり把握していない模様だ。
メニューを見ていると、のび太君が早くもアミューズを持ってきた。
バゲットにオリーブオイルで和えたトマトと何かが乗っかっているので、ふやけてしまうううー。
ちなみにこの時点で水はサーブされていないし、布ナプキンもセットされていないので、いきなりアミューズに食らいつくのは気が退ける(正式なマナーとしては、ここで食べていいのだろうか?)。
ふやけゆくアミューズを横目に、Aコース(3500円のプリフィクス)を選ぶ。
前菜+メイン+デザートに、単品でブイヤベースは多いだろうか?という質問には、要領を得ないのび太君を見かねたのか、奥から出てきたシェフ(らしき男性)が「多すぎるのでやめたほうがいい」と回答してくださった。
二人分の食事とハウスワイン(赤)のキャラフを注文し、やっとアミューズを口へ。
ふやけてなかったらかなりおいしいのになあ。残念。
ぶじょぶじょにふやけていたため手が油まみれになってしまったので、のび太君にナプキンを頼むと、出てきたのは紙製のおしぼり。
「ビストロ」に布ナプキンを求める私がおかしいのだろうか。
しかしテーブルには立派な布クロスがかかっている。
安ビストロにありがちな、ビニール製の赤白ギンガムチェックではない。
なのにナプキンは紙。
うーむ。雲行きが怪しくなってきたぞ。

ワインが運ばれてきた。
ありー、キャラフって500mlくらいじゃないの?
普通のワインと同じサイズのボトルに入ってる?
二人とも酒飲みではないので一本はつらいが、「キャラフ」の定義を知らない自分たちも悪いので、とにかく乾杯。
ワインのことはよくわからん(葡萄の品種なのか地名なのかもよくわからない)が、あんまり好みではない、と思った。
うすら甘いような、なんというかとにかく「メシに合わん!」という感じ。
まあ食前酒と思えばいいか。

私の席からは、カウンターの奥のシェフのキレのいい動きがよく見える。
あっという間に二人分の前菜が完成し、のび太君が運んできた。
私のは「粒貝とウニのココット詰め エスカルゴ風グラタン」、オットのは「フォアグラのソテー ポルト酒のソース」。
二種類の料理が同時に出来立てで出てくるのはうれしい。
「エスカルゴ風」というのは、要するにエスカルゴを調理するときによく使われるたこ焼きプレートのような皿に材料を入れ、オーブンで焼いたと思われるものだった。
悪くないけどウニの味がしなかったから減点。
オットのフォアグラは及第点。
ただ、どちらも見た目が地味で量が少なめなので、なんとなくこの後が不安な気分になってきた。
と言いつつも皿に残ったソースを一滴残らずパンですくい取ると、のび太君が皿を下げに来た。
意外とちゃんと見てくれているようで好感が持てる。

ほとんど間髪を入れずメインの登場。
ワインや会話をじっくり楽しみたい人にとっては早すぎる展開かもしれないが、純粋にメシを食らいに来た我々にとっては、この迅速さはありがたい。
私は「地鶏もも肉のローストとフォアグラのソテー 蜂蜜とシェリービネガーのガストリック黒胡椒風味」、オットは「高座豚のグリエ(180g)」。
吉祥寺で高座豚が食べられるのはここだけらしいが、高座豚という品種の存在を今日初めて知ったのでありがたみが少ない。すいません。
ここに到達するまで、どちらかというとダメな印象のほうが強かったのだが、このメイン二種で全部帳消しになった。
鶏の皮のパリパリ具合、ピリっと効いた黒胡椒、蜂蜜の甘さとシェリービネガーの酸味の織り成すハーモニー。
そして鶏の上に鎮座するフォアグラ様のほどよい焼き加減。
うまーーーーーーい。
オットの高座豚がまたすばらしい。
柔らかいのに適度に歯ごたえがある。外はカリッと、中はジューシー。
月並みな形容詞しか出てこないが、とにかくドカーンと180gは満足度が高い。
やっぱりブイヤベース頼まなくてよかった。。。

またもや意地汚く皿に残ったソースをパンでゴシゴシすくって、ご馳走様。
デザートは「ガトーショコラ キャラメルのスフレ フランボワーズのソルベの盛り合わせ」と「アメリのクレームブリュレとショコラのアイスクリーム」。
英語とフランス語が混在してるし、アメリって何??映画???と不信感をあらわにしながらも、結局どれも非常にハイレベルにおいしくて感動した。
クレームブリュレは表面のパリパリ部分が重要だ(と個人的に思う)が、ここのは薄く広い皿なのでパリパリ部が多い。しかもしっかり焦げていて香ばしい。高得点。
盛り合わせは、ひとつひとつのレベルも高く、組み合わせもよい。
特にアイスクリームとソルベが秀逸だったが、あれは自家製なのだろうか。
コーヒーは、エスプレッソマシーンなので平均点。

幸い喫煙客はいなかった。
しかし、カウンターに灰皿が積まれていた(ように見えた)ということは禁煙ではないようなので減点。
非喫煙者にとって、食事中に副流煙をかがされるのは拷問に近い。
狭い店で分煙は成立しないので、食事中心の飲食店での全面禁煙は至極当然の要望ではなかろうか。
特に新規開店の場合、常連客がいない(=喫煙者の常連客離れを恐れる必要がない)のだから、「全面禁煙の店」として始めていただきたいものだ。

というわけで結論は、メインとデザートが圧倒的においしかったので、「けっこういいじゃん」である。
改善点は多々あるものの、客が育てるタイプの店かもしれないという大人っぽい意見に落ち着き、何度か通ってみることにした。
土地柄にあぐらをかいて「味もコストパフォーマンスもイマイチ」な店があまりに多い吉祥寺で、あれだけの量と味が維持できれば、それだけでも高得点ではないだろうか。
お店について書くのって難しいなあ(←誰にも頼まれてないのに)。
家に戻るやいなや二人とも胸焼けでダウン。
フォアグラ風味のゲップが私たちを襲うのだった。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home